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おぎりんのblog♪事実を大切に

2024.02.05

カテゴリー:BLOG

この度の地震により被災された皆様に心より、お見舞い申し上げます。一日も早い復旧と、皆様のご健康をお祈りしております。

 

新年早々に大きな地震がおき、翌日に羽田空港で日航機と海保機が衝突事故をおこすという大変な年の幕開けとなりました。1月17日に阪神淡路大震災がおき、その2カ月後の3月20日に地下鉄サリン事件がおきた29年前の1995年になぞらえる方もいらっしゃるようです。

わたしはその阪神淡路大震災時には香川県のホテルに宿泊しており、ちょうど早朝、目覚めたときに大きな揺れを感じ、しばらくベッドにしがみつきました。ホテルの部屋の電話では大阪にいる両親につながらず、外の公衆電話でようやく連絡がとれた記憶があります。まだ携帯電話は普及してはおらず、むしろこの震災により、動けなくなったトラック運転手が買いあさった事などもあり、ひろまった印象です。また、神戸在住だった両親の知人となかなか連絡がとれず、ニューヨークで暮らす弟から電話してもらい無事が確認できたという事もありました(これらから、公衆回線や国際回線が優先されていることを実感しました)。

 

いずれにしましても、災害時には、安全確保できているかどうかの確認を取ることが最優先になります。また、香川県という震源地からも遠くない場所にいながら、震災の概要を知るのは、発生後数時間たってからでした。当時ロジスティクス部門に在籍しており、会議のために出張していたわけですが、時間がたつにつれ、神戸・大阪方面に向かうトラックドライバーたちから道路渋滞が激しく、到底予定時間に間に合わないという連絡が多数はいってきていました。で、慌ててTVの画面を見てすぐには言葉も出ませんでした。結婚後、神戸市内に住み長男も生まれています。その街が大火災に包まれ、阪神高速道路が横倒しになっている姿を見て愕然としました。TVやラジオ以外には、同時性をもつメディアはなかったため、オフィスで仕事をしていると、そのような情報が伝わらなかったのです。

 

当時、まだSNSという存在はありません。この年はWindows95の発売年であり、インターネットが実質的に普及し始めた年でしたが、まだ接続するのは面倒で、パソコン通信が主流だったように思います。しかし、この年以降、Webの密度や速度が加速度的にすすみ、まさにITの進化はドッグイヤー(人間の寿命は犬の7倍であるところから)、今までの7倍の速度であるとされました。90年代末に「Mixi」が登場、2004年に「Facebook」、2006年に「Twitter」が登場。それぞれ数億人から数十億人というユーザーを抱える事となり、まさにSNSの時代となります。今やスマートフォンを通じて、地震がおきる前に(震源地が近いと直前ではありますが)、警報が鳴る時代となりました。当然ながら、29年前にわたしが感じたようなタイミングのズレは大幅に減少しています。

 

そのように、限りなく同時性を保持する、タイムラグが非常に小さいメディアを我々は持つようになりました。当然、95年の阪神大震災時より、2011年の東日本大震災時よりもさらに情報収集に関する事情は良くなっているはずです。しかし、必ずしもそうは言えない事態にもなってしまっているのが残念でなりません。

情報取得タイミングは早くなっていますが、その中にデマ、今風に言うところのフェイクが大量に混じっているからです。SNSの発達・普及により、誰もが情報を発信出来るようになりました。しかし、必ずしも事実が検証されていない、情報源が不明な、むしろ捏造されたような情報が流布される時代になってしまいました。デマ・フェイクの類いはもちろん人類の歴史とともに存在してきたとは思いますが、それを拡げる手段が格段にお手軽になり、速度を増してしまいました。

 

この手の情報のたちが悪いのは、今回の震災やコロナ禍のように、皆が困っているときに流され、その情報により、さらに現実が歪められ、困難な事態になる事です。

コロナ禍の初期、マスクが店頭から消えた際、トイレットペーパーも中国からの輸入だから今、買わないと無くなってしまうというデマが流れました。実際、そのデマを信じた人々がトイレットペーパーを買い込んだため、店頭が空っぽになってしまいました。冷静に考えれば、トイレットペーパーのように、嵩が高く付加価値の少ない商品を、物流費をかけて中国から輸入しても商売になるわけがないのです。マスクのように嵩が低い商品とは全く違います。しかし、誰もが冷静さを失うような事態におかれた際には、こんな事になってしまいます。

 

今回の地震においても、東日本大震災時の映像に能登半島の地名をつけて流す、助けを求める偽の住所の情報、あげくのはてには、人工の地震だなどと、安物のSFでも使われないようなデマが流されています。戦争中に日本軍が九州でデマを流したら、東京へ何日かけて到達するかを調査していたという事を聞いた事があります。今はまさに即時で伝わってしまいます。

 

そのようなデマを取り締まる事が、現時点では難しい中、我々がその真偽を見抜かなければなりません。単一の情報源に頼らず、その情報が他の媒体でどう扱われているか?専門家が根拠のある話をしているのか?知り合いからの情報というだけで信じていないか?など、特に映像は慎重にうけとめる必要があります。

 

また、我々のような組織が、正しい情報をできるだけ多く、拡散させる事も重要だと思います。デマを凌駕するような正しい情報の量を質とともに確保していく努力が求められています。国や自治体も同様ですが、正しい情報の総量を拡大する事が、今現在実行できる最良の方法にように思っています。