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おぎりんのblog♪リスクに対する想像力とは

2024.03.07

カテゴリー:BLOG

この度の地震により被災された皆様に心より、お見舞い申し上げます。一日も早い復旧と、皆様のご健康をお祈りしております。

 

今月も少し古いお話から始まります。

1975年に新卒採用されたユニ・チャーム株式会社で、大阪支店に配属。主に兵庫県の代理店や小売業を担当していました。その3年後、JR神戸駅前に営業所を設ける事になり、職住接近でその営業所そばのアパートに移り住む事に。しかし、そのアパートが営業所に近いというメリットだけで、6畳一間、トイレ共同(もちろん和式)で風呂なし、築おそらく40年という、今なら到底住もうとは思わないような物件でした。ちょうど広域暴力団の山口組の本家事務所と一筋違いという立地。その頃も結構抗争があり、危険な感じもしますが、毎日毎晩機動隊が20人くらい、事務所近くに駐留しており、逆に安全?なところだったかもしれません。その後の有名な山一抗争時には、営業所も元町に移り、わたしも結婚しており、阪急春日野道に住んでいましたが。

それはともかく、前述したようなアパートに居住していた時に、先月取り上げた1995年の阪神淡路大震災のような大きな災害があったらと思うと、本当にぞっとします。

 

そんなアパートに居住した経験のあるわたしですが、2月14日放映された日本テレビ系の「それって!?実際どうなの課」の人気コンテンツである“激セマ物件”を見ていて驚くと共に、不安になりました。

1つめの物件は、東京都国分寺市にあり、住人の女性いわく、独立洗面台のない物件を探していたとのこと。3畳1間で、風呂はシャワーのみで浴槽はなし、トイレも極端に狭くドアをあけておかないと座れない。狭いながらも整理整頓されており、きれいには使っておられます。しかし、なぜそのような激セマ物件でも、東京で暮らそうとおもったのかというリポーターのやす子さんの質問に対する回答が予想できないものでした。

 

彼女は地方で生まれ育ち、東京で暮らす事が夢だったそうです。ここまではよくある話なのですが。大抵は都会ならではの職業につくためにとか、目指す資格をとるためとか、この回でもう一人紹介されていたラッパーの男性のように、仕事がらタクシー代などとのトレードオフを考えた結果渋谷の激セマ物件に・・というような事なら、まあ理解は出来ます。

が、彼女にはそのような、将来何をしたいとか、何になりたいという希望はなく、都会には住みたいが、できるだけボーっとしていたい、働く時間は極力少なくしたい。なので、フリーターで、しかも出来れば週3日くらいの稼働で、暮らせるギリギリの家賃のところを探した結果だと言うのです。

 

そもそも、この物件は比較的新しく、新しい建築基準で建てられているとはいうものの、室内の狭さからして、大きな震災時に安全に脱出できそうな気がしません。建物が古く、部屋の構造含め、災害に耐えられそうにない物件が都内だけでも相当数あると思われますが、それらと比較しても安全性がそんなに高くはみえません。

 

もう一つ、わたしの大きな懸念は、家賃の払えるギリギリの範囲でしか仕事をしたくないという点です。もちろん人生に対する見方・考え方は人それぞれですし、それら含めた価値観は尊重されるべきかと思います。しかし、現在20代と思われる彼女は思いもしないのでしょうが、人間は必ず年を取ります。また病気やケガもしますし、将来の年金などが非常に不安ということすら考えていないでしょう。わたしも同じ年代の頃には、将来に対する不安はあまり持ち合わせていませんでした。但し、その頃の日本は高度成長経済の真只中であり、まだ終身雇用が普通の時代でした。なので、頑張っていれば将来も大丈夫というのが大半の若者たちの思いだったかと思います。

 

つまり、災害時におけるリスク、自身の人生におけるケガや病気、老化というような普通に起きうるリスクが全く頭にないという事に不安を覚えたのです。

新年早々の地震だけでなく、年中水害他災害大国の日本に住んでいても自身が被災しない限り他人事(ひとごと)で、自分には関係のない事ととらえられている可能性が高いです。

また、現時点では、労働力不足から選ばなければ仕事があるという状況ですが、いつまで続くかは不透明です。また多くの高齢者が年金だけでは暮らせず、食べるために仕事をしなければならず、独り者の老人にはアパートすら貸してくれないという社会状況もよく理解していないように思います(彼女の仕事観からすると、年金もほとんど受給できないと思われますが)。

 

いずれも、ちょっと冷静に考えれば、対処しておくべきリスクなのですが、リスクをリスクとしてとらえられていないため、いざそういう事態になったときには、慌てふためく事となります。まさに後悔先立たずのなることは想像に難くありません。

どう考えても、災害は頻繁に起きますし、私達より上の世代と比べ、今の若い人たちの将来はかなり厳しいと思うのですが、目の前しかみられないという事が非常に懸念されます。ほんの少しでも災害リスクや、生きていく上でのリスクについて考えてもらえるようになる事を期待します。

 

以上。