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おぎりんのblog♪フェイクに気をつけて、前を向いて
2025.06.02
カテゴリー:BLOG
先日、かなり久しぶりに生の芝居を観てきました。演劇ユニツト夢桟敷という名前の劇団の第17回公演で「ホウセンカ」というタイトルの芝居です。作・演出とも妹尾江身子さんでオリジナル脚本でした。
普段トレーニングジムで“BAILA BAILA”というダンスのインストラクターをされていて、毎週お世話になっている山崎明美先生がなんと役者デビューという事でかけつけた次第です。山崎先生は普段からジャズを中心に、クラブやライブハウスで唄っておられ、ジムでダンスを教えていただいてから、もう何度もライブにはおじゃましています。しかし、演劇は全く初めてという事で、正直なところやや心配をしながら拝見しましたが、まるで何年も経験があるような落ち着いた役者ぶりで感心しました。途中劇中歌を唄うシーンもあり、これはもう文句なし。
お芝居の世界をあまり、ご存じない方だと、そんな素人がいきなり舞台に立って良いのかと思われるかもしれません。しかし、役者として経験を積むための最初のトレーニングが発声なのです。基本的に発声がしっかりしていないと、観客に伝わりません。その点、山﨑先生はプロですし、ダンスやヨガなどのレッスンをされていて、体幹もしっかりされているので、短期間の訓練でも大丈夫だったのだと思います。
劇団のフライヤーを元にお芝居の内容をご紹介します。昭和40年代高度経済成長期の日本。成長のかげで、底辺で頑張っている人々のお話です。生活は苦しくても若者たちは夢や希望を持っていた時代、都会の片隅にひっそりたたずむアパートの世話好きな管理人のおばさまと住人たちの、笑いあり、涙ありのストーリーになっています。悪いやつもいたけど、この頃は人情があって良かったという話が90分弱にうまくまとめられていました。客席数は少ないながらも(北池袋新生館シアターでキャパ60席ぐらい)、満席。千穐楽ということもあってかエキストラの椅子もという事で、出演していた役者さんたちのモチベーションはかなり高かったと思います。全般的に女優さんたちが印象的でしたが、中でも光子役の後藤留美さんの演技に感心しました。
ややノスタルジックではあるけど、こういうノスタルジーは良いと思っています。色々問題も多かったが、夢や希望を実現したいというエネルギーがあって、そういう問題点を乗り越えて、より良い社会を作ってきたと思うからです。もちろん、公害が悪化、炭酸ガスが増えて地球温暖化が進んだというような良くない事も多々ありますが、全体的には生活が豊かになり、衛生面も向上、医療などの進化により、平均寿命が大きく伸びました。なにより、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法に則り、不十分ながら男女雇用均等法の施行など平等権に関する権利も獲得してきました。同性婚などのマイノリティに対する権利や選択的夫婦別姓など、何年も議論されながら、一部の保守勢力の主張によって実現していないのは残念ですが。
例えば、選択的夫婦別姓については、これを採用すれば戸籍制度が壊れる、日本の伝統的な姓の文化が失われるなどの一見本当のような言説が流布されています。戸籍制度のデータの持ち方は壊れないですし、日本の伝統といいながら明治時代の旧民法で同姓義務が規定されたわけで、そんなに伝統のある事ではないです。なにしろ江戸時代には武士以外は名字帯刀を許されておらず、ごくごく一部の町民に与えられた特権でした。何より、同姓を法的に義務づけているのは日本だけなので、グローバルに活躍する女性が大きな不利益を被っています。経団連や連合が選択的夫婦別姓を推しているのは当然のことです。
さらに最近のポピュリズムのかたまりのような一部政党が、日本の政治家の3分の2は帰化人、日本はアジアを侵略していないなどと言い、改憲して国民主権を剥奪すると言っています。さらに、小麦粉は戦後アメリカから支給されて初めてお好み焼きやうどんが出来た、アメリカに作られた食文化ですというようなすぐに嘘と分かる事まで。なのに、こんな無茶苦茶な話に、少なからず賛同者がいるのが怖くてしょうがないです。
トランプさんも科学を信用せず、地球温暖化は科学者が作ったフェイクだとしてパリ協定から離脱しました。DEI(多様性・公平性・包括性)のような長年かけて人民が獲得してきたことも否定、自国の発展を大きく支えてきた大学を弾圧するなど正気の沙汰とも思えません。関税政策は結果的にアメリカの貿易赤字を増やし、国民の生活に悪影響があるというのが、ほぼ経済に関する有識者たちの見立てです。
日本のポピュリズムの人達はトランプさんとは、スケールが違いますが、フェイク情報を連発し、保守層をひきつけようとするスタンスは同じです。経済が悪くなると、こういう人達が台頭してくるのは、日本、欧州、米国を問わず同じですが、せっかく手に入れてきた人権に関する大切な事を放棄するような事だけは、絶対に避けるべきです。
大規模な災害時にもフェイク情報の蔓延が大きな障害となっています。SNS(ソーシャルメディア)の拡大がそれに拍車をかけています。SNSにはアルゴリズムが働いていて、自分の好きな、あるいは同調する情報が選択されています。結果として実は閉じられたような空間でコミュニケーションが繰り返されて、自身の意見や意思が肯定されるように思ってしまいます。いわゆるエコーチェンバー現象です。さらに既存メディアと違う、これは自分が見つけた情報だと思い込んでしまいます。そして間違った正義感に基づいて、さらにフェイク情報を垂れ流してしまいます。間違った正義が一番厄介です。これについては、また改めて考えたいと思います。
以上。
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