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おぎりんのblog♪野中郁次郎先生を偲んで…
2025.02.03
カテゴリー:BLOG
トランプ新大統領が就任早々、予想以上のスピードで次から次へと大統領令を発信。わたしからすると、乱暴狼藉のオンパレードですが、特にパリ協定からの離脱で地球温暖化が更に歯止めがきかなくなる事が憂慮されます。L.A.での大火事を見ても、知事が環境問題にかまけて水を貯めていなかったからだとか(日本の立花教授ばかりか、アメリカの学者からも温暖化の影響が大きいと発表されています)、あの惨状を前にしてもとんでも発言を連発。WHOからの離脱や移民の強制送還なども本当に酷いです。
第1次トランプ政権時よりも、起用しようとしている閣僚メンバーが能力や見識ではなく、自身に対する忠誠心で選択しているため、彼に歯止めをかける人物が周囲にいない事が憂慮されます。マスク氏のこれからの政策も不安ですが、なんといっても厚生長官に指名されているロバート・ケネディ・ジュニア氏が心配です。なにせ、いとこであるキャロライン・ケネディ元駐日大使が彼を「プレデター(捕食者)」と呼び、厚生長官としての起用を承認しないように、閣僚人事の承認権限を持つ上院宛に、書簡を送付しているぐらいです。
トランプ新大統領は、地球温暖化をはじめ、自身の都合の悪いことは学者の捏造かのように評し、政策に反対する学者たちを排除してきました。今後もその姿勢は変わらないと想像されます。もちろん学者がとなえる説をすべてうのみにする事も危険ですが、正しい分析や論証、将来に対する予測は、我々の将来に向けた活動に当然活かされるべきです。
前置きが長くなりましたが、これまで様々な学者の方々の著書や講演を通じ、学んできました。そういう中、社会人を通じて、最も説得力ある論理でかつ、実務にも活かす事が出来ると確信し、尊敬してきたのが野中郁次郎先生です。その野中先生が肺炎のため、1月25日に亡くなられました。89歳でした。
野中先生から学ばせていただいた事は多数ありますが、特に「スクラム方式の製品開発」、「暗黙知・形式知」、そして「失敗の本質」です。
わたしが最も驚いた製品の一つがSONYのウォークマンです。たまたま訪れていた名古屋のライブハウスにきていた方から聴かせてもらったのが最初です。ウォークマンのあの小さなカセットテープ再生機が産み出す、まさにHiFiとしか言いようがない再生音に驚嘆しました。そのウォークマンを始めとし、日本製品が世界を席巻していた1980年代に欧米各国は、「なぜ日本企業は開発スピードがそんなに早いのか?」と成功の秘訣を知りたがっていました。それに答えたのが野中先生の「スクラム方式の開発」だったのです。
製品開発のプロセスはそれまでリレー方式が主流でした。つまり、設計から製造まで担当者がバトンをつないでいくという方法論でした。野中先生は各企業の現場でのリサーチする事によって日本の企業が研究から製造部門まで異なる部門が声をかけあい、一気にゴールを駆け抜ける「スクラム方式」であるという事を論文として発表し、大きな反響を呼びました。
また、わたしが直接野中先生の講演を聴く機会を得、学ぶ事ができた「暗黙知・形式知」を元にした対話による組織の知識の創造です。このとき、例えられたのが暗黙知=長嶋茂雄、形式知=野村克則で、非常に理解しやすい講演でした。
これら、野中先生が現場を通じて理論化された事は、人事やマーケティング部門での実務にずいぶんと活かす事ができました。
更に、日本がバブルから転落、失われた30年を経験する中で、戸部先生ら6名の共著である「失敗の本質」に大いに感銘をうけました。しかし、原稿を持ち込んだダイヤモンド社はタイトルが暗いと消極的だったそうです。著書の内容はまさに第2次大戦における旧日本軍の失敗の数々、日清日露の成功事例にとらわれ、正しく彼我の分析が出来ず、判断を誤った事例が的確に捉えられています。成功事例を聞くという事に比べ、失敗事例に学ぶという事には積極的になりにくいのが人間の性かもしれません。ダイヤモンド社もそれを危惧したのかと思います。
しかし、成功者の話を聞いて、その通りにしたとしても成功するかどうか保証の限りではありません。逆に失敗事例のとおりに行動すれば、ほぼ100%成功しないでしょう。
また、自身の成功の自慢話をする上司はたくさんいると思いますが、失敗したケースをベースに部下に語れる人こそ、信頼できる上司かと思います。
このように、野中先生に教えられた事は多数かつ重要な事柄ばかりです。先生が現場を必ず訪れておられ、かつものすごい読書家でもあり、大学の先生らしからぬ飾らない人柄であられた事が大きな成果に結びついたように思います。
改めて、野中先生の業績・お人柄を振り返ると共に自身の今後の活動に再度活かして行くことを誓い、ご冥福をお祈りします。
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