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おぎりんのblog♪万博って…

2023.09.05

カテゴリー:BLOG

2025年に開催が予定されている大阪・関西万博。近畿圏在住の方以外は、「そういえばそんなの、やるらしいなあ」というぐらいの印象ではないでしょうか。実際に8月26・27日に毎日新聞が行った世論調査では、「関心がある」は22%、「関心はない」は63%、「どちらとも言えない」は15%という結果でした。「関心がある」を地域別にみると、近畿では4割ではあるものの、東京・九州が2割、東海では1割強など、明らかに地域差が出ています。

なぜこのような事になっているのか、半世紀前、わたしが経験した大阪万国博開催時の状況と比較してみたいと思います。

 

前回の大阪万国博は1970年でした。当時、大阪市内在住、高校3年生だったわたしは、受験勉強もありながら(実際に受験勉強らしきものを始めたのは11月から)、地方からやってくる親類・縁者の付き添いで、何度も会場に足を運びました。浦沢直樹さんの力作「20世紀少年」に描かれているように、東京在住の少年少女たちも夏休みになんとしても万博に行きたいと思っていたのだと思います。

わたし自身もその年、高校の同級生のガールフレンドと、デートと言えるような事を初めて経験しましたが、その行き先は万国博でした。ブルガリア館かルーマニア館(記憶があいまいですが、東欧の国だったのは確か)のレストランで食事したのを覚えています。アメリカ館・ソ連館の長蛇の列をさけて入ったケベック館も立派なパビリオンで、なぜカナダの1州が独立して出展しているのかを調べて、カナダにおける民族問題に気がつくという事もありました。

インターネットもない時代、まだまだ海外事情は洋画や海外ドラマで知るというぐらいで、1ドル360円の固定レート、海外旅行も夢のまた夢(なんせクイズ番組の賞が夢のハワイでした)。海外の人と交流するというような事もほとんどなかった時代です。アメリカ館の“月の石”のような2時間も3時間も並んで見るような目玉に限らず、海外の人たちを実際に目の当たりにし、文化に触れるだけでも魅力がありました。また携帯電話の原型や自動販売機での缶コーヒーの販売、動く歩道など、その後実現あるいは普及したものの原点にふれることができました。

当時も、合衆国との安全保障条約改定が論議をよび、またヴェトナム戦争の最中で、学園紛争が激しい時。反博というイベントが開催されたりしていて、必ずしも全国民が賛成という事でもなかったですが、関心興味は非常に大きかったと思います。成長期というだけでもない、時代の特性が万国博の成功を支えていたと思います。

 

ひるがえって2025年大阪関西万博は準備においても様々な問題が明らかになり、ネット上では、「バッタもん」、「オワコン」などと呼ばれる有様です。

そもそも、2017年に誘致委員会が立ち上がったという事を聞いたとき、今更何を誘致するのかと思ったものです。2020東京オリンピックの招致もそうですが、失われた30年の負債とその後の無策の解決に、オリンピックや万国博というような過去の栄光にすがるしか策がない事自体情けなく思いました。前回のオリンピックは1964年、万国博覧会は1970年、激しい勢いで経済が膨張していた超成長期でのイベントです。現在の日本は、完全に成熟市場であり、人口減に転じようとする経済下で、過去の成功事例をそのまま繰り返してうまく行くはずが無いし、マイナス面が多くなる事は容易に想像されました。

案の定、2020オリンピックではコロナ禍という予期せぬ事があったといえ、大幅な予算超過と汚職まみれの結果を招きました。それこそ、海外TVネットワークの金を引き出すために地球温暖化の中、真夏の開催という全くアスリートファーストではないスポーツイベントとなりました。

大阪関西万博でも、残り2年を切ったこの時に、56の参加国・地域が自前で建て、万博の華と期待されるパビリオンタイプAで大阪市に対し、建築許可の手続きを始めたのは韓国とチェコだけ。到底、間に合いそうにありません。また例によって大幅な予算超過で、当初申請時の入場料4,800円から7,500円になっています(前売り券等は少し安いが)。これだと少し足してディズニーランドやUSJって事になりそうです。

また会場となる夢洲の地盤問題もあります。埋め立て地特有の問題です。関西空港も1年で6m近く沈下し、94年の開場からの30年間でさらに4m近くも沈下しています。なぜ短期間で建設し、使用するところなのに、ここを会場にしたのか大いに疑問があります。上記のタイプAの参加国・地域向けの設計ガイドラインには地盤条件は明記されておらず付属資料にあるだけのようです。元々廃棄物処理場ですから、跡地由来の土壌汚染含め地下の状況が明確になっていない可能性があります。さらにここの地盤状況ですと35から40mの深さまで杭を打つ必要があります。打つよりも撤去(引き抜く)を安全に行う事が難しいところから、ゼネコン各社の腰が引けているのも理解されます。

 

今回の万博については、70年時の堺屋太一さんのようなリーダーがいないから、組織横断での風通しが悪くコミュニケーションがうまくいっていないからとか問題が色々語られています。しかし、招致に至るまでの準備がまともになされていない事が最大の要因だと言わざるをえません。計画策定に至る当たり前の分析や検討が為されていれば、こんな結果にはならなかったはずです。

地球温暖化に伴う、異常気象がもたらす災害(風水害や山火事等々)やウクライナ紛争に伴う、穀物不足、円安によるガソリンに代表される異常物価、福島原発のデブリ除去(800トン.以上あると見られ、世界中の誰も技術を確立できていないし、まず人間が近づけない。成功しても初回はグラム単位。汚染水放出などはほんの入り口)等々、行政・政財界ともども、人・モノ・金を投じなければならない案件山積みの今、このような事に投じられている金と人がもったいなくてしょうがないのです。

以上。