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おぎりんのブログ:人生100年時代

2023.04.10

カテゴリー:BLOG

2023年4月に思う事

寒暖差の激しさにとまどっているうちに、早くも4月を迎えることに。この3月はやはり、12年前の東日本大震災に関するイベントや記事の露出も多かったですが、わたし個人にとっても2011年3月から4月にかけては、非常に重要な時となりました。前立腺ガンが確定したのです。

2ヶ月続きで病気の話題で恐縮ですが、2011年3月16日の血液検査結果(PSA検査)が芳しくなく、4月1日、担当医との話し合いで生体検査を行う事に。4月8日に検査入院―これが生まれて初めての入院―し、4月15日の診察で検査結果を長男と聞きましたが、がんを患っていることが確定しました。

がんの告知を聞いた時より、結果を待っている1週間のほうがメンタル的にはつらかった感じで、確定した以上はどう立ち向かうかという事に気持ちを切り替える事が意外にすぐに出来ました。前立腺がんは進行が遅く、この後1カ月かけて治療法を検討。他のがんのように抗がん剤という選択肢はなく、放射線か手術のどちらかを選ぶということでした。結局、重粒子線治療という先進医療を選択。この年の11月22日から12月19日にかけて週4回の照射を受けました。

並行して行っていたホルモン療法と、この治療によって一旦快癒。しかし、その後も定期検診を受けていた中で、2018年3月7日に再発を宣告され、転移に関する検査を受ける事になりました。幸い、転移はありませんでしたが、重粒子線治療をうけた患者は、手術は難しいと言われていた中、日本でただ一人ダ・ヴィンチによる手術の実績がある医師を紹介され、8月3日に全摘手術を受けました。

そのおかげもあり、今年めでたく70歳を迎え、3月4日には生まれ故郷の大阪で「古希ライブ」を開催、多くの友人が集まってくれ、盛況な中で終えることができました。

 

今回、このようなテーマについて記述させていただいたのは、3月初めにN.A.さんという音楽業界では著名なベーシストが58歳という若さで、わたしと同じ前立腺がんで亡くなられたという報道をみたからです。58歳といえばわたしが発症した年齢であり、あまりに早い旅立ちにショックを受けました。さきほども述べましたように前立腺がんは進行が遅く、確実に検査を行い、発見されればある程度は治療の可能な病気です。がんの中でも最も延命率の高い事が証明していますし、現にわたしもすでに12年、生きながらえています。

前立腺がんはこのように延命率の高い病気ではありますが、怖いのは自覚症状がほぼ無いことです。また、転移しやすいのがリンパと骨という、万一転移すると非常にやっかいな状況を引き起こす部位になります。前述したPSA(腫瘍マーカー)検査が登場するまで、前立腺がんでの死亡者が多かったのはこのためです。足が痛いとか、体調が極端に悪くなったという状況になって初めて前立腺がんが転移した事が判明。すでに手遅れということが多かったと思われます。

N.A.さんと個人的なおつきあいがあったわけではないので、ここからは想像がはいります。自覚症状がない事から、定期的にPSA検査を受けていない限り、発見が遅れます。彼もおそらく定期検査を受けてはおられなかったのではと。結果的に異常が発見されたときには転移しており、手遅れになったのではと想像します。

サラリーマンですと、ほとんどの企業が年に1回は健康診断を実施していますし、一定の年齢以上の構成員には各種の血液検査を含んでいますので、そのスクリーニングにおいて発見される事が多いかと思います(企業によってはPSAを省いているところもあるので確認が必要)。

しかし、フリーランスの方はご自身で受ける以外に方法がありません。一病息災で、持病をお持ちの方は比較的、健康について注意されますが、若い頃から体力に自信のある方ほど、気をつけていただきたいと思います。

よく自分自身の健康状態は自分が一番知っているなどとおっしゃる方がおられますが、こういう人が最もリスキーだと思います。自分自身の行動や考え方ですら、なかなか客観的に評価する事は難しいです。まして健康状態はすべてがすぐに色々な症状にあらわれるわけではありません。定期的な健康診断、30代以上の方は、最低半日ドックを。男女それぞれ特有の病気はありますので、それぞれ注意が必要です。今回取り上げさせていただいた前立腺がんでは50代以上の男性はPSA検査を必須にするべきです。

先月も述べましたように、ご自身の思い込みがもっともリスクが高いということを自覚していただき、人生100年時代を楽しく送っていただきたいと思います。

以上。