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おぎりんのblog♪スタイルを貫く
2023.12.04
カテゴリー:BLOG
11月21日に、4年少し前から参画させていただいている交流会で、「唄は世に連れ、世は裏に連れ」というタイトルで、約40分間、プレゼンしました。
メインテーマが「No Hobby No Life」で、その趣味の一つとしてわたしの趣味―音楽―と共に戦後の日本の音楽史をたどるパワーポイントを作成。音楽がテーマなのでギターで実際にいくつかのヒット曲を弾き語り、また交流会のメンバーお二人にも唄っていただきました。
この近代史とでもいうべき内容については、リアル・リモートそれぞれの参加者から好評をいただきました、今回は時間制約もあり、端折ったパートもいくつかありましたが、時間を延ばして、質問も受けるスタイルで更に深く知りたいという声もいただき、時間をかけて準備した甲斐がありました。
それはさておき、その中で戦後の日本の洋楽の歴史で重要なポジションにある歌手が笠置シヅ子さんである事を改めて強く認識しました。
笠置シヅ子さんは、戦前からOSK(大阪松竹少女歌劇団)で活躍。その後、東京に本拠を移し、松竹楽劇団へ。そこで作曲家で指揮者の服部良一と運命的出会いを果たす事になります。服部とのコンビで更に歌唱に磨きがかかり、スイングジャズの女王ともいうべき存在になります。新興の東宝からの引き抜き騒ぎなどもありながら、松竹の看板歌手として活躍を続けます。
しかし、時はまさに日中戦争から太平洋戦争に向かっており、日本人離れした歌唱力や激しい動きが軍部や警察から目をつけられ、彼女独特のステージングが封じられると共に、客足がおちていきます(朝の連続ドラマがまさにこのあたりまで進んでいます)。
その後松竹を離れ、独立。営業努力もあって収入的には潤い、母の死後東京に引き取っていた父親との生活も豊かにはなっていったようです。しかし、ジャズは敵性音楽であり、当時軍からの依頼で行っていた慰問演奏旅行への声もかかる事はなく、次第に厳しい生活になります。家も東京大空襲で焼け出され、かわいがっていた弟さんも戦死。その頃ようやく戦争が終結します。
戦争中から、親交が深まっていた吉本興業の御曹司穎右との子供を妊娠している事を知り、彼と結婚、引退する事を考えていたようです。しかし、その穎右が24歳の若さで急逝。彼女は悲嘆のどん底に突き落とされます。
不眠にも悩み、睡眠薬を処方されてもいたようですが、服部良一ら周囲の人が支え続けていました。その後穎右の遺言で「エイ子」と名付けられた女の子を抱いて芸能界に復帰する事となります。父親が認知する前に亡くなっている事から、エイ子を吉本家に入籍させるためには裁判が必要となり、世間の好奇の目にさらされる事などを避けるため、自身で育てる事にします。乳飲み子を抱えてステージにたつ彼女にたいし、当時、戦争のために1人で子供を育てざるをえなかった多くの女性達の共感を得、後援会の中核を占めていったようです。
そして戦争中は決しておおっぴらに演奏する事ができなかったブギウギを服部良一との協働で創作していきます。このリズムは現在ではシャッフルと言われる事が多いですが、三連符の3つの音符の真ん中が休符となっていて“タッタ、タッタ”という感じのリズムです。この弾むようなリズムにのせて笠置シヅ子のパワフルでパンチの効いた唄を聴いた人たちが、戦後の暗いムードを払拭し、平和となった喜びを強く感じた事は想像に難くありません。
歌唱スタイル自体、それまでの東海林太郎に象徴される直立不動の姿勢ではない、激しく動き、踊りながら歌うスタイルがこのリズムにぴったりとはまったとも言えるでしょう。
最初の東京ブギウギに始まり、ホームランブギ、大阪ブギウギ、買い物ブギとヒットを連発。まさに日本の洋楽史、歌謡史を書き換えた歌手だと思います。
その後、まだ子供の美空ひばりが彼女の物真似で世に出てくる事などもありながら、自身のスタイルを貫き通します。
旧態依然とした日本の音楽界に衝撃をあたえ、国民に音楽の楽しさと共に、戦後の暗いムードを吹き払い、力づけた素晴らしい歌手だと思いますが、1956年の紅白歌合戦でオオトリを務めた翌年、歌手を引退します。その後は女優業に専念する事となります。今年70歳になったわたしも、物心ついた頃には、歌手を引退されており、リアルタイムでは聴いていません。という事もあり、現在歌手としての評価は決して実態と比較して高くないように思います。器用な歌手ではなかったと思いますが、それ故に自身のスタイルを貫く事で成功したのだとも思います。
現在、放映されている朝ドラが今後どのような展開になるかはわかりませんが、趣里さんや他のキャストの好演もあり、毎朝熱心に視聴しています。このドラマをきっかけに笠置シヅ子さんの歌手としての再評価がなされる事を大いに期待しています。
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